ケアマネジメントにおけるモニタリングを効果的に行う5つのコツ

新人ケアマネ仕事術
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ケアマネジメントの過程中でモニタリングを苦手とするケアマネジャーが多く見られます。効果的なモニタリングが出来ないと、せっかく作ったケアプランが有効かどうかが判断できず、その結果ご利用者の課題の解決に至らないばかりか、独りよがりのケアマネジメントを行うことにもなりかねません。

ここでは、有効なモニタリングを行えるようになるためのコツを解説していきます。

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モニタリングとは

モニタリングとは居宅サービス計画(ケアプラン)の実施状況を把握し、その結果必要に応じて、事業所との連絡調整や主治医等の医療関係者への情報提供や便宜の提供を行うことです。

なぜモニタリングを行う必要があるのか

ケアマネジャーによるモニタリングは運営基準に定められており、モニタリングの未実施は運営基準減算の対象になります。ケアマネジメントの過程における重要なポイントであり、自主点検や実地指導の際には必ずチェックされることになります。

モニタリングは利用者だけでなくその家族たサービス事業所等との連絡を継続的に行うものとされており、特段の理由がない限り

①少なくとも1月に1回利用者宅を訪問し利用者と面談すること
②少なくとも1月に1回モニタリングの結果を記録をすること

となっています。

ここでいう特段の理由とは、利用者に起因するものであり、ケアマネジャーと事情によるモニタリングの未実施は認められないので注意が必要です。

効果的なモニタリングを行う目的

ケアマネジメントの過程ではPDCAサイクルが重要となります。効果的なモニタリングを実施するということは、ご利用者の居宅サービス計画が正しく実施されているのかを把握し、短期目標の達成に向けてどの地点にいるのかを知ることが目標を達成させるために必要なことになります。

順調に短期目標の達成に向けて進んでいる場合はご利用者のニーズの解決に向かっていると考えられます。しかし、ケアマネジメントの過程ではすべてのケースが必ずしも順調に行くとは限りません。

例えば、デイサービスを計画に位置付けていたが、ご利用者の強い拒否が出た場合などでは、そのことにより課題の解決が順調に進んでいない状況になっていると考えられます。

このような場合、なぜデイサービスを拒否されているのかの原因を把握する必要が出てきます。他のご利用者との関係やデイサービスで過ごす時間が長い、その他の理由などデイサービス側の対応が変わればサービスを受けることが出来る場合もあれば、対応が変わっても拒否が続く場合もあります。

デイサービスに行くということは課題解決のひとつの手段であり、無理強いすることで課題の解決につながるわけではありません。他の手段で課題の解決をする方法がないかを検討して短期目標の達成ができるようにする必要もあるかもしれません。

そのような事を検討するのもモニタリングの目的のひとつとなります。ケアプランありきではなく、ご利用者主体のケアが行われているかを確認する意味でも、モニタリングは重要で欠かすことのできないものなのです。

モニタリング時にありがちな失敗

モニタリングは1月に1回はご利用者の居宅を訪問して実施しますが、それ以外にもサービス事業者からの報告で状況を知ることもモニタリングに含まれます。しかし、モニタリングが苦手と感じているケアマネは次のような失敗をやりがちです。

1.ご自宅訪問時に雑談で終わってしまい、聞きたいことが聞けていない
2.家族に一方的に話され、ご利用者の意見が聞けない
3.ご利用者やご家族の思いや言っていることを説得しようとする
4.事業所からの報告を鵜呑みにしてしまう

効果的なモニタリングを行うコツ

モニタリングを苦手としているケアマネジャーは事前の準備が不十分なまま居宅を訪問しているようです。特に慣れないうちはしっかりと事前準備を行い、限られた時間を有効に使えるようにしましょう。

効果的にモニタリングを行う5つのコツをお伝えします。

1.戦略的にモニタリング面談を行う

面談時の段取りをあらかじめ大まかに決めておきます。ケアマネジャーが訪問するとこれまであった出来事などたくさん話したくなるご利用者やご家族もいらっしゃいますが、時間が長くなりすぎないように時間の管理が必要です。
また、確認してくることを事前に考えておき、流れをコントロールできるように戦略を立てておきます。

2.目標の達成に着眼している

モニタリングの目的は短期目標の達成に向けてサービスの実施状況を確認することでしたね。その短期目標をもとにケアマネジャーが話をしなければ、モニタリングの意味が薄れてしまいます。

サービス提供の内容だけに捉われるのではなく、目標達成に向けた現在の位置を利用者と共有することが自立に向けた支援を行うように心がけましょう。

3.利用者や家族の心理状態をキャッチできる

ご利用者やご家族は必ずしも本心をすべて話してくれているとは限りません。どのような心理状況なのかをしっかりと把握し、それに応じた対応が出来るようになることはケアマネジャーとしては非常に重要なことです。

ベテランでご利用者やご家族とのトラブルがないケアマネジャーは心理学を学んでいたり、心理学を生かしたコミュニケーションが取れているいることが多いです。このスキルは経験で身に付けることはなかなか難しく、ケアマネジャーは自己研鑽として相手の相手の心理状態をキャッチできるスキルを学んでおく必要のある部分です

4.事業所からの報告は重要な要素が詰まっている

サービス事業所からはご利用者の状況を報告していただいていると思います。きちんと目は通していますか。サービス時の状況だけでなく事業所側が感じている重要な情報が記載されています。

事業所はケママネジャーに読んでもらっていることを前提にしていますので、見逃さないようにしましょう。
ご利用者側の思い、事業所側の思いの両方を知ることで、解決するべき事柄が明確になり効果的なモニタリングが出来るようになります。

5.余裕を持ったスケジューリング

モニタリングの日程を予定していても様々な都合で変更をしなければならないこともあります。ご本人が入院になったなどの特段の理由でなければ少なくとも月に1回は居宅を訪問する必要があります。都合で予定を変更しなければならなくなった場合のために月末ぎりぎりにモニタリングのお約束をするのではなく、日程には余裕をもってスケジューリングをしましょう。また、予定を変更にすることを極力避けるため、ご利用者の予定は十分に把握して、事前に訪問のお約束をしておくようにしましょう。

まとめ

ケアマネジャーとしてモニタリングの業務にかかる時間は一番多いのではないでしょうか。それだけに時間も内容も効果的に実施していく必要があります。しかしh、じっくりお客様やご家族の話を聞くということは、聞くスキルも必要になり大変難しいことです。自信をもってモニタリングができるようになりましょう。

寺岡 純子

合同会社カサージュ 代表
主任介護支援専門員/BCAO認定事業継続管理者/看護師
急性期の看護師を経験した後、1999年に介護福祉の世界に転向
前職場では、介護事業の運営と約400名の部下育成に携わる
現在は、独立し居宅介護支援事業所を運営する傍ら、介護研修事業を展開
特に、介護BCPは介護現場とBCPの両方を理解している講師としてさまざまな方面から高く評価をいただく

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