定期巡回・随時対応型訪問介護看護で覚えておきたい5つのメリット・デメリット

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    ケアマネジャーにとって事業所の数が少なかったり、利用する機会がが少なく、内容がよくわからないと言われるサービスの一つに定期巡回・随時対応型訪問介護看護があります。 そんな定期巡回サービスについて詳しく説明したいと思います。

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定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは平成24年に創設された地域密着型サービスです。介護を必要とする人が出来る限り在宅で自立した生活が出来るように365日24時間のサービス提供が行われます。 このサービスは要介護の認定を受けている方のみが利用でき、要支援の人は利用することができません。

大きく次の3つのサービスから構成されています。

1.定期巡回サービス 1日に複数回利用者宅を訪問して、排泄や食事、服薬の介助、安否確認などのサービスを行います。訪問介護のようにサービスの開始時時刻や終了時刻の制限がなく、短時間のサービス提供が可能です。

2.随時対応・随時訪問サービス ご利用者やご家族家族らの緊急時等の通報に対応します。必要に応じて緊急通報用の端末をお渡ししておきます。オペレーターが通報の内容により訪問の必要性を判断します。必要と判断した場合は随時訪問により排泄介助など必要なケアを行います。

3.訪問看護サービス ご利用者の心身の状態に応じて医師の指示により看護師が訪問し、医療ケアを実施します。訪問看護サービスを利用する場合は利用料金がプラスされます。

訪問看護のサービスの提供の仕方によって2つのタイプがあります。

①一体型 訪問介護と訪問看護のサービスを同じ事業所で一体的に実施します。

②連携型 訪問看護は地域の事業所と連携を取りながらサービス提供を行います。訪問看護は提携の契約を交わした訪問看護事業所に依頼をします。

いずれの場合にも、訪問看護サービスを受けていない利用者にも月に1回以上看護師が訪問し、日常生活の課題などについてアセスメントを行います。アセスメントの料金は基本報酬に含まれています。

介護報酬について

要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
訪問看護サービスを行わない場合 5,666 10,114 16,793 21,242 25,690
訪問看護サービスを行う場合 8,267 12,915 19,714 24,302 29,441
ショートステイ利用の場合(1日) 186 333 552 699 845

※ショートステイを利用した月は日割り計算になるため注意が必要です。 その他、初期加算、生活機能向上加算、サービス提供体制強化加算、総合マネジメント加算、介護職員処遇改善加算などの加算があります。 通所介護を利用した日は介護度別に減算が適用されます。

事業所の特長

他のサービスメニューと併設している場合が多く、訪問介護事業所や夜間対応型訪問介護事業所、小規模多機能型居宅介護などと併設していることが多いです。 集合住宅に併設されている事業所も多くあります。 地域密着型サービスであり、またサービスの特性上広範囲の訪問には対応しにくいので、訪問エリアを確認する必要があります。

定期巡回サービスのメリット

1.状態やニーズに応じて柔軟なサービス提供が可能 状態に応じて定期訪問の回数や時間を変更するなど、柔軟なサービスの提供を受けることができます。

2.短時間のサービス提供が可能 訪問介護ではサービスが難しい、ごみ捨てや安否確認、服薬介助などの短時間のサービス提供が可能。2時間ルールも適用されません。必要なタイミングで必要なサービスを受けることができます。

3.夜間のサービス提供が受けられる 早朝夜間のサービス提供を受けてもらえる訪問介護事業所はそれほど多くないのが実用ですが、定期巡回サービスは365日24時間のサービスですので、必要性に応じていつでもサービスを受けることが可能です。深夜に随時対応で電話を受けてもらえる安心感もあります。

4.いざというときに看護師に相談できるため安心感がある 月に1回看護師の訪問があり、普段より連携が密に行われているので安心感があります。

5.月ごとの定額報酬である 1日に複数回の訪問を受けても、月額報酬のため限度額を超える心配がありません。

定期巡回サービスのデメリット

1.月額報酬のためサービス利用回数が少なくないと割高になることがある このような場合には訪問介護や夜間対応型訪問介護への切り替えも検討します。

2.長時間の訪問介護のサービスは通常受けられないことが多い 訪問介護での生活援助などで時間をかけてまとめて行うようなサービスは受けられないことが多いです。掃除などは訪問の際に少しずつ行うなどの工夫がされます。買い物は次の訪問前に購入してから訪問するなどされています。

3.訪問看護の回数に制限をかけられる 訪問看護の費用も月額での報酬になるため、通常の介護報酬より低くなるという理由で回数を制限する事業所があるようです。

4.事業所の数が少ない 他のサービスに比べて圧倒的に事業所数が少ないので事業所自体がないという地域や、対応できないと断られるケースもあります。どのくらいのサービス提供が可能なのか事前に聞いておくことも重要です。

5.サービス提供時間の固定が難しい 定期巡回サービスは地域を巡回しながら1日複数回の短時間のサービスを必要に応じて行います。そのため、前の家のサービス提供時間の延長等によって多少の時間の変更が起こることがあり、時間の固定は難しいことを認識しておきましょう。

サービス利用のポイント

このようなかたにお勧めできます。

・退院後で生活のリズムが家族の介護力などが把握できない時期に定期巡回サービスを利用することで、必要なサービスの種類や回数などを十分にアセスメントすることができます。

・ターミナルなどで体の状態でニーズが変化するような場合でも、状況に応じて柔軟に対応してもらえます。

・認知症で1日に複数回の安否確認が必要な場合でも毎日のサービス提供が可能です。   定額制だからといって、必要以上のサービス提供を求めることは良くありません。逆に事業所側が介護度によって訪問回数を制限するようなことも望ましくありません。

上手に使えば、退院後や認知症の方の在宅生活のサポートの力強い味方になってくれるサービスです。

ケアマネジャーも変更する必要がないので、状態に合わせて定期巡回サービス⇔訪問介護と使い分けることもできます、(一緒には使えません)

まとめ

定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスは柔軟なサービス提供がウリです。今までよくわかっていなかったので使ったことがないというケアマネジャーは、対象になりそうな利用者がいらっしゃれば是非事業所に相談してみましょう。

寺岡 純子

合同会社カサージュ 代表
主任介護支援専門員/BCAO認定事業継続管理者/看護師
急性期の看護師を経験した後、1999年に介護福祉の世界に転向
前職場では、介護事業の運営と約400名の部下育成に携わる
現在は、独立し居宅介護支援事業所を運営する傍ら、介護研修事業を展開
特に、介護BCPは介護現場とBCPの両方を理解している講師としてさまざまな方面から高く評価をいただく

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