自立支援はアセスメントと目標設定で決まる!新人ケアマネ塾

自立支援を目標としたケアプラン 新人ケアマネ仕事術
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新人ケアマネジャーにとって一番難しいと言われてるのがアセスメントです。しかしながら、このアセスメントの良し悪しによって、自立支援に向けた介護ができるか否かが決まっていくといっても過言ではありません。ベテランケアマネはどのような思考でアセスメントを実施しているのかを理解し、ご利用者の自立を促すケアプランが作成できるようになるポイントを押さえていきましょう。

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アセスメントスキルの向上を図る

アセスメントとは

ご利用者の解決するべき生活課題(ニーズ)と可能性を把握することです。ご利用者の置かれている状況を把握することで、心身機能の低下の程度や背景・要因を分析します。また、生活をする上で支障になっていることや要望などに関する情報を収集していきます。本人の意向と家族の想いが違う場合もありますので、両者から情報を収集する必要があります。
アセスメントに使用するアセスメントシートは厚生労働省が指定する課題分析標準項目(23項目)を満たしていることが必要であり、どの様式を使用しているのかは、運営規定に明記する必要があります。また、保険者によっては独自のアセスメントシートを使用していたり、様式を指定される場合もあるので注意が必要です。

課題分析標準23項目と主な内容例

1 基本情報―氏名や性別、住所、電話番号など利用者の基本的な情報
2 生活状況―利用者の現在の生活状況や生活歴
3 利用者の被保険者情報―利用者の介護保険などの被保険者情報
4 現在利用している介護サービス等の状況
5 障害高齢者の日常生活自立度―ランクJ〜Cの日常生活自立度(寝たきり度)
6 認知症高齢者日常生活自立度―自立ランクⅠ〜Mの認知症の方の日常生活自立度
7 主訴(利用者やご家族の主な希望、要望)
8 認定情報―利用者の要介護度区分など認定結果の情報
9 課題分析(アセスメント)理由
10 健康状態―利用者の健康状態について記載
11 ADL(日常生活動作)に関する項目
12 IADL(手段的日常生活動作)に関する項目
13 認知―認知能力の程度に関する項目
14 コミュニケーション能力
15 社会との関わり―社会との関わりに関する項目
16 排尿・排便―排泄の頻度、ポータブルトイレ、おむつなどの使用状況の項目
17 褥瘡・皮膚の問題―褥瘡(じょくそう)、皮膚の清潔状況などの項目
18 口腔衛生―歯や口腔内の状態、衛生に関する項目
19 食事摂取―栄養、食事回数、水分量などに関する項目
20 問題行動―暴言暴行、徘徊(はいかい)などの行動に関する項目
21 介護力―介護者の有無や介護意思などの介護力に関する項目
22 居住環境―利用者の居住環境、住宅改修の必要性についての記載
23 特別な状況―介護者による虐待や終末期ケア(ターミナルケア)に関する項目

課題整理総括表を活用する

ケアマネジメントに関して、「利用者増や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない」、「多職種協同が十分に機能していない」といった課題への対応するために課題整理総括表が策定されました。
自立した日常生活を阻害する要因を洗い出すために、項目ごとに状況の事実を確認し、改善または維持の可能性を分析、見通しを立てて、生活全体の解決すべき課題を抽出するシートになります。
課題整理総括表を活用することで、課題を導くにあたっての考え方を整理し、明確にすることができます。また、サービス担当者会議などで他の職種の人と情報を共有する際にも活用することができます。
一つ一つの状況を分析し、整理する力をつけることはケアマネジメントを行う上であらゆる場面で必要となるスキルです。最初は時間がかかりますが、ここをいい加減にしないように取り組むことがケアマネジャーとしての力量に大きく影響してくる部分となります。

アセスメント時のポイント

  • アセスメントの実施には十分な時間を要するため、その旨をお伝えしておく。ただし、時間をかければよいものではないので、ご利用者の負担にならないように適正な時間を配慮すること
  • ご利用者のペースに合わせ、尋問にならないように
  • 状況は出来るだけ具体的に聞けるよう質問の仕方を考えること
  • ケアマネの主観や根拠が不十分な憶測を書かない

自立を促すアセスメントの具体的方法

まずは現状把握です。使用しているアセスメントシートに沿ってヒヤリングをしていきます。ここでの注意点ですが、アセスメントシートの最初から順番に質問をしたりしていないでしょうか。これでは次々に繰り返される質問の関連性が見られにくくなるためにご利用者からすると尋問を受けているような気持になります。それを避けるためにも、1日の生活に合わせて質問を組みたてておくことです。事前の準備のひと手間が、効率よく生活課題を見つけ出しやすくするポイントです。

例えば、「朝の洗面はどのようにしていますか」の質問に、「洗面所でしています。」と回答があれば、次のような質問が関連付けられます。

  • 洗面所まではどうやって行くのか
  • ベッドからの起き上がりはどうやっているのか
    • 着替えや整容はどうしているのか、自分でどこまで出来るのか 等

こうして動作や着替え、整容等の状況を関連させることで、時間を短縮しながら自然な流れで質問することができます。

自立支援のための目標設定

目標(なりたい姿)を明確にする

現状の把握をしながら、ご本人が望む生活を確認しておきます。
アセスメントと必要なサービスを決めた後に、目標設定をしてしまうと、サービスを利用するための目標設定になってしまいがちです。例えば、「(デイサービスに行って)運動をしたい」というような具合です。本当に運動不足を感じていて、運動がしたいのでしょうか。近所のスーパーに買い物に行けるようになりたいとか、旅行に行きたい等の生活の中で出来るようになりたい事は無いのでしょうか。手段が目的になってしまい、義務的に感じるとこともあります。ケアする方もどういう状況を目指しているのかが不明瞭な為、人によって対応が違う等の弊害が出てきたりします。これでは何のためのケアプランなのかわからないですね。

自立支援にセルフケアは不可欠

繰り返しますが、目標は誰が見ても同じように、ビジョンとして光景が目に見えるくらい具体化させるようにしましょう。
その上で、目標とする生活をするために必要な支援とスモールゴール(短期目標)を考えます。
介護保険のサービスだけではなく、インフォーマルサービスや家族が出来る支援に加え、自分で行うこともセルフケアとしてプランニングしておくことが、自立に向けたケアプランのポイントになって来ます。

しっかりと具体的な目標設定ができ、達成に向けた手段の洗い出しをすれば、その内容を関係者全員で共有し、本人も含めた全員で目標達成に向けて行動をしていけば良いのです。

まとめ

アセスメントで、利用者の生活課題を分析し、なりたい姿、ありたい姿が誰にでも同じ絵が見えるように描ける目標設定をすること、サービス担当者会議で共有することを意識して、ベテランケアマネの仕事に近づいて下さいね。

寺岡 純子

合同会社カサージュ 代表
主任介護支援専門員/BCAO認定事業継続管理者/看護師
急性期の看護師を経験した後、1999年に介護福祉の世界に転向
前職場では、介護事業の運営と約400名の部下育成に携わる
現在は、独立し居宅介護支援事業所を運営する傍ら、介護研修事業を展開
特に、介護BCPは介護現場とBCPの両方を理解している講師としてさまざまな方面から高く評価をいただく

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