介護職員が利用者から暴力やセクハラを受けた時の管理者としての対応

介護

介護の現場において、利用者から何らかの暴力やセクハラを受けた経験のある介護職は95%を超えるといわれています。そのような行為に至る要因は、個人のパーソナリティーの問題だけでなく認知症の症状によるものも見られます。大切な職員を守るために管理者として適切な対応ができていますか。どのように対応するのが良いのか考えて、対応が遅れると事態が悪い方向へ進んで行ってしまいます。


しかしながら、暴力やセクハラの被害を職員が訴えても何の対応もしない管理者や事業所があることも事実です。そのような事業所で職員がイキイキと介護に当たれるはずなどないことは想像できます。訪問系では職員が身の危険を感じること、入居系ではたの利用者への影響も考えられます。対応を先延ばしにして放置した結果、職員が辞める、利用者が減るなどで経営を圧迫することになることは容易に想像できます。


ここでは、事例を踏まえて管理者としての対応をまとめています。細かい事業はそれぞれで違いがあるとは思いますが、ぜひヒントにしていただき、管理者として大事な職員を守って行ってくださいね。

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利用者からの暴力やセクハラの相談があったら

職員から暴力やセクハラの被害を受けた場合、利用者・職員両方の目線に立って状況を見き分けることは重要です。被害を受けた職員は大きな心の傷を負っていることを忘れずに、その職員の心情に寄り添うことを忘れないようにし、対応を怠らないようにしましょう。

職員から話をよく聞く

どのような状況で暴力やセクハラが行われたのかを当事者からしっかりと話を聞きます。また、同様のことが他にもなかったかを他の職員にもヒヤリングをします。以前から同様のことがあったにもかかわらず、職員が我慢していたということもよくある話です。具体的な日時、内容を正確に知ることをまず最初に行いましょう。


話を聞くときには、自分の主観を入れずに事実を把握するように努めることも重要な点となります。中には、職員の対応や立ち位置が悪いと利用者の見方をしたくなるようなこともあるかもしれません。しかし、それは今後の対策にはなるかもしれませんが、起こってしまっていることを無かったことにすることはできないのです。

それを出してしまうと職員は理解をしてもらえないと察知し、話すことを辞めてしまいます。
管理者が起こったことに対してしっかりと行動を起こすことが、職員が安心して仕事ができる職場である証になり、ここでの管理者の主観は必要がないことです。

プロだからということで我慢させない

会社は従業員を様々な状況から守る必要があります。その中で、一番身近にいる管理者は職員を守る立場にあるという意識を強く持っていなければなりません。なぜなら、そのこときっかけで職員が退職に追い込まれることもあるのです。暴力やセクハラなどを受けた職員の精神的なダメージは相当なものです。管理者の意識として当事者意識を持ち、毅然とした態度で事態の解決に向けて行動をしていくようにします。


間違っても、「介護のプロなのだからそのくらい我慢しなさい」というような発言はしないようにしましょう。実際、このようなことを言ってしまい、職員が次々に辞めていき現場が回らなくなるケースも多く見受けられます守るべきものは何かの見極めを誤らないようにすることが管理者に求められる能力です。

利用者からの暴力への対応をするために

自分の事業所では、利用者からの暴力やセクハラは絶対に起こらないとは言い切れないことです。過剰な要求を避けるためにも言えることなのですが対応をする際に、対応がスムーズに行くようにするために必要なことをお話しします。

契約時の説明を怠らない

利用の契約時には重要事項の説明での料金やサービス内容、その他の事項をたくさん説明する必要があります。そのあと、契約書の締結など説明をするほうも受けるほうも多くの時間と労力を費やします。そのため、後のほうになってくるに連れて、十分な説明がなされていない場合もあるのではないでしょうか。


多くの事業所の契約書では事業所側からの契約の解除権を掲げていると思います。事業所側からの解除権を行使するにはそれ相当の理由が必要となり、契約者本人、家族への事前の告知が必要になります。だからこそ、契約時にしっかりとこの部分も説明しておく必要があるのです。

重要事項説明書には、解除の理由にあるような事項を明記してあるはずです。特にこれらを家族に理解しておいていただくことは、後々問題が起こった場合に事業所の味方になってもらえる場合もあります。

<重要事項説明書への具体的記載例>

利用者及び利用者の家族等が事業所や事業所の職員に対して、

・法令に反する行為を行った場合
・この契約を継続し難いほどの背信行為を行った場合
   ↓
・文書で解約を通知することにより、即座にサービスを終了することができます。
・14日前に文書で通知することにより、サービスを解除することができます。

というような内容が書かれていることが多いです。
つまり、暴力やセクハラの被害を受けることは、この解除事由に該当する可能性が非常に高くなります。もちろん、契約解除が解決策ではなく、暴力やセクハラの原因があるのであればそれを改善してもらえるように働きかけていくことが一番重要なことですが、改善が見られない場合は解除権を行使することも検討していくことで、大事な職員を守っていくようにしましょう。


この場合には、「契約時にお伝えしていた第〇条に関連して検討している」ということを話し合いの段階で相手に伝えておき、事の重大さを伝えることや寝耳に水という事態にならないようにするようにしておきましょう。

利用者からの暴力への具体的な対処法

利用者の認知機能に問題がある場合

認知症がある場合は不快な思いなどが暴力更衣などに代償されている場合があります。排便の状態や食事、水分その他の体調の変化がないかのアセスメントと対応が必要となってきます。医師とも連携を取っていきましょう。


介護の場面では、対応する職員を変えてみる、二名での対応、家族に付き添いを依頼するなどで対応する職員が安心できるようにします。管理者自身が立ち会い状況を確認する必要もあります。

認知機能に問題がない場合

今まで、問題がなかったご利用者が突然性格が変わったような場合は、慢性硬膜下血種などの脳外科関連の疾患などが隠されている場合もありますので、医療とも情報を共有しましょう。

そもそもの性格的なもので、能力やセクハラが行われるような場合、職員を侮辱するような言動がある場合などには毅然とした対応が求められます。

対応のポイント

1.速やかに対応をする
初動が遅れると、問題が大きくなりかねません。また、対応しない管理者への職員の不信感も募ります。

2.事業所だけで対応しようとせず、関係者を巻き込みましょう。
・ケアマネジャーに報告する
 起こった事実と今後の対応を報告し、協力してほしいことがあれば要請しましょう。
 ただし、ケアマネジャーに解決策を求めることはよくありません。
 進捗についてはこまめに報告するようにします。

・地域包括や行政にも連絡しておく
 大げさとは思わないで、「このような事象があったので、念のために共有させていただいておきますね。」と言っておくことで本人や家族が逆切れして行政などに連絡をされた場合にも、先に伝えてあることで公正に対応してもらえます。

3.管理者が矢面に立つ
事業所のトップである管理者が毅然とした態度で対応しましょう。
繰り返しますが、暴力やセクハラがなくなる状態になることが重要なのであって、起こったことをとやかく言ったり、責めたりするのではありません。管理者として利用者の想いを聞き出すことで、原因となったことが見えてくることもあるでしょう。

4.家族に連絡し、面談の機会を持つ
認知症や疾患による暴力やセクハラである場合もありますが、そこも踏まえて家族にも協力を要請する必要も出てきます。決して本人や家族を責めたりするのではなく、一緒に解決策を考えていくために協力を求めていきましょう。

5.色々なケアの方法を試す

その行為に至った原因を予測します。そのうえで、やり方や声掛けの方法、ケアの時間帯などを変えてみて様子を見ます。その人にとって最適なケアができる方法を模索してみましょう。不安や不快が原因であった場合にはケアの方法を変えることで解決する場合もあります。

最後に

利用者の暴力やセクハラなどへの対応はデリケートな部分もあり、実際には難しい場面も多くありますが是非ヒントにしていただき、職員も利用者にとっても良い解決が出来ればうれしく思います