業務継続計画書(BCP)策定のポイント

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生き残りをかけた事前の戦略

BCPとは、Business Continuity Planの頭文字をとったもので、一般的には事業継続計画と呼ばれています。

 

企業はテロや自然災害、感染症のパンデミック、大規模なシステム障害など通常の事業を行うことが困難な状況になることを想定しておかなければなりません。そのような場合に、全ての事業を停止することになれば経営が立ち行かなくなる恐れがあります。

BCPは、どのような状況であっても重要な業務を継続することによって、会社が生き伸びるため、経営を守る戦略を書き記した計画書のことです。

BCPの発動が必要になる事象の発生から経過時間により、

  1. 事前対策
  2. 初期・初動対策
  3. 継続・復旧対策

に分けられます。

BCPの策定に加えて、平常時から対策の運用についての訓練を取り入れるようにしておきましょう。

BCPの成功を左右するBCM

BCPにより事業継続を実現するための戦略はBCM(Business Continuity Management )と呼ばれます。実効性のあるBCPにするためには、このBCMが非常に重要な役割を担うことになります。

 

つまり、BCPは作って終わりなのではなく、作った後どのように運用していくのかが大事だということです。加えて、誰が中心になってマネジメントを進めていくのかも考えていかなくてはなりません。

 

また、BCPの導入開始時にはマネジメントの担当者や従業員への教育など、やらなければならないことは山積みです。

 

業務継続計画では誰も助からない

企業におけるBCPでは、重要業務を選定し事業を継続させることを目的にしています。一方で、厚生労働省は2009年の新型インフルエンザが世界的に流行した際にBCPを業務継続計画と訳しています。

 

また、2021年に介護事業所向けに公表したBCPのガイドラインで、「介護サービスは、要介護者、家族等の生活を支える上で欠かせないものであり、昨今大規模な災害の発生が見られる中、介護施設・事業所において、災害発生時に適切な対応を行い、その後も利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築することが重要です。」としています。

 

さらに、ガイドラインを読み進めても、どこにも会社の経営を守り事業を継続していくことの必要性は書かれていません。

 

これでは、ご利用者や入居者、そのご家族がサービス提供の停止により不利益が生じないようにすることが最も大事であると言っているようなものです。そして、そのことだけを持って、BCPの策定を義務化しようとしているように見えます。

 

このような考え方で、全ての事業者にとって意義のあるBCPの策定が可能でしょうか。義務化されたので取り敢えず雛形を埋めておこうする事業所が出てくるのではないか。結果として、大地震や水害などが発生した際に計画通りに行かず、利用者も事業者も従業員も共倒れになる三重苦になるのではないかと危惧されます。

 

BCP(Business Continuity Plan)を 『事業継続計画』 中小企業庁 『業務継続計画』 厚生労働省と訳している

 

三方良しの『介護BCP』

2018年の大阪北部地震の被災をきっかけに介護事業所のBCPの必要性を感じ、BCPについての学びを深めていると、やはり現場のサービス提供の継続の域を超えて経営目線でのBCPが必要であると強く感じました。

 

介護事業所には、利用者、従事者、経営者の目線から三方良しの『介護BCP』でなければなりません。

 

 介護サービスは利用者やその家族の生活を支えており、サービスが停止することで生命をも脅かす事態につながることもあります。

 

そのため、どのような災害に見舞われたとしても、利用者にとって必要不可欠な業務は継続することが望まれます。

 

しかし、災害等の発生時には、ライフラインの寸断や設備、施設の損傷、従業員の被災等によるマンパワーの不足などを生じる可能性があります。また、安全を最優先に考えて、避難所への避難をすることもあります。

 

ただし、平時のサービス提供時に比べると、人や物、環境など全てのリソースはマイナスです。そのような中で、あれもこれもやろうとすると無理が生じて、必要最小限の目標達成も出来なくなる恐れが出てきます。

 

ですから、全ての業務を継続することが難しい状況に陥った時は、経営に及ぼす影響の大きさを分析して「継続する業務」と「休止する業務」を決めておきます。また、複数の事業を行なっている場合は全ての事業を継続するのか否かも分析しておくことが重要です。

 

介護事業とBCP

介護事業は主に利用者に介護サービスを提供しています。しかし、施設などでは一部の業務を外部に委託していることもあります。また、福祉用具をレンタルや販売するなど直接的なサービスではないものもあります。

そのため、介護サービスによってBCPを策定する時の大きな違いが生じており、不慣れな職員が多い職場では、計画的に研修等を取り入れていきましょう。

寺岡 純子

合同会社カサージュ 代表
主任介護支援専門員/BCAO認定事業継続管理者/看護師
急性期の看護師を経験した後、1999年に介護福祉の世界に転向
前職場では、介護事業の運営と約400名の部下育成に携わる
現在は、独立し居宅介護支援事業所を運営する傍ら、介護研修事業を展開
特に、介護BCPは介護現場とBCPの両方を理解している講師としてさまざまな方面から高く評価をいただく

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介護コラム
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