
最近では看護師の資格を持った人が自ら事業を起こして起業をするケースが増えてきています。
しかし、どんな事業をするのかや、会社をつくる際の手続き、費用の捻出など起業するには様々なことを決めて行かなくてはなりません。現場での勤務しか経験のない看護師にとって、準備の段階で壁にぶつかるケースも少なくありません。
この記事では、看護師が起業する場合に必要な事柄についてわかりやすくまとめておきます。起業を検討されている方は是非参考にしてください。
看護師が企業をすることのメリット
病院や介護施設などの既存の看護サービスではフォローできない課題に対して、新しい看護サービスをつくることで社会の課題を解決することが可能になります。
自分のアイデアで必要とされているサービスを作りあげていくことはやりがいがあります。また、自分が経営者になり事業を軌道に乗せていくことで、収入を増やすことができるというメリットもあります。
起業に向いている看護師とは
起業するということは、従業員として給料をもらっている立場から、自分で売り上げをつくる立場に変わります。
そのため、看護師の資格があるからと言って、誰にでも簡単にできるものではありません。
頭で考えるよりも体が動いてしまう人
考えるよりも先に体が動いてしまうタイプの人は起業するには向いています。起業は頭であれこれ考えて、行動に移せなければいつまでたってもできません。
とにかくやってみてから考えようという行動力は大切です。
負けず嫌いな人
起業しても思うように事が運ぶとは限りません。このような時に、あきらめずに負けないという強い気持ちが持てる人は、起業した後に困難ことがあっても乗り越えて行けるでしょう。
自分ならできるという自己肯定感の高い人
とにかくやってみるという行動力と、自分だったら上手くいくという根拠のない自信のある人は起業に向いていると言えます。
自分はうまくいくという自信は、自己肯定感の表われです。日本人は自己肯定感が低い人が多く、自分なんかで良いのかや、無理かもしれないと思ってしまう人も少なくありません。
自信があるといいことは大きな結果を残していくためには重要な考え方です。
諦めの悪い人
起業しても自分が思い描いていたような仕事が順調にできる人は、多くありません。途中で方向性を変えたり、事業の内容やアイデアを出しながら軌道にのせて行く必要があります。
少しくらい上手くいかなかったからと言って、挫折するのではなく、あきらめが悪く次の手をどんどん出していけるような人が起業には向いています。
自分が社会を変えるという意識のある人
これから起業をする場合、既存の事業内容で行うのではなく、まだないサービスを作りあげていくような内容でないと、ライバルの数も多く上手くいかない可能性があります。
そんなときでも、自分が社会を変えるんだという強い意識を持っているひとは、起業には向いていると言えます。
これまでのやり方に疑問が持てる人
起業をするには常にアイデアを出していくことが大切です。これまでのやり方や、常識と思われているようなことにも、疑問を持ち、新たな方法を見出していける。そんな人であれば、起業をしても大きな成果を上げることが期待できます。
法人の種類と看護師の独立に向いている仕事
起業にあたっては、どのような組織で行うのかを考えていく必要があります。
個人事業
法人を設立せず、個人事業主として活動を行うやり方です。保健師や助産師として開業する場合やコンサルやライターなどの業務委託を受けてする仕事、講師などの教育事業などは、法人を設立しなくても、個人事業で行うことが可能です。
法人化
法人には様々な種類があります。組織の人数や社会的な役割に違いがあるため、職種などを見極めて、どの法人にするのかを決めていきましょう。
非営利法人(NPO法人、一般社団法人)、営利法人(株式会社、合同会社など)の種類があります。
なお、介護保険制度を利用して介護サービスを行う場合には法人化している必要があります。
ボランティア
中にはボランティアで活動をされている方もおられます。活動時間はそれほど長時間ではなく、時間に余裕がある場合などで報酬がない分、事業の継続はしやすいでしょう。
看護師の起業に向けての公的支援
事業の内容にもよりますが、起業をするには運転資金が必要であったり、専門的な手続きが色々とあるため、一人で行うのは非常に労力がかかります。
国や地方自治体の支援を受けられるものもあるため、利用できそうなものは上手に活用していきましょう。
国の支援が受けられるもの
経済産業省 中小企業庁
(1)補助金による支援
新しいものづくりやサービスに対して設備投資やサービス開発、試作品の製作に対し最大1000万円の補助が受けられる「ものづくり補助金」「創業補助金」「小規模事業者補助金」など、個性や若者などが地域で起業する場合や、後継者の新分野への挑戦を支援する「創業補助金」、小規模事業者の事業の持続発展を後押しする「小規模事業者補助金」などがあります。
(2)専門家の相談できる
経営の悩みを、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士などの専門職に無料で相談ができる制度があります。
(3)創業や事業運営に関する相談や情報提供が受けられる
国が設立した「よろず支援拠点」、中小企業・小規模事業者を地域で支える「地域プラットホーム」など。
詳しくは⇒中小企業庁のミラサポHP
厚生労働省の創業支援
(1)再就職手当
雇用保険の受給資格者自らが、雇用保険の適用事業の事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合や、事業の開始により自立することができると認められる場合において、一定の条件のもと再就職手当の支給が受けられる。
詳しくは⇒厚生労働省HP
その他
NPOや介護・福祉等に関する事業等の起業について、政策金融機関での融資や起業支援のセミナーを実施している。
詳しくは⇒日本政策金融公庫
自治体が行っている支援
起業支援
自治体により企業支援を行っているところがあります。
(1)ビジネスの基礎知識・技術の支援
起業手続き、運営、経理や税金などの情報提供、技術力の強化支援などが受けれれる
(2)企業の関連した申請・相談支援
創業を目指す人や創業間もない人に対して、創業の相談や事業を軌道に乗せるための相談などができる相談窓口を設けている
(3)意見交換会や情報交流会
起業に関心がある人や起業間もない人を対象にした、交流会やせもなーを実施
(4)融資などの金融支援
人件費、賃借料、広告費などの創業期に必要な経費の一部を融資
(5)情報の提供
好事例集や情報の提供など事業運営に役立つ冊子を発行
(6)ビジネスコンテストなど
ビジネスプランのブラッシュアップ支援や資金の融資の相談が受けられる
産業・地域振興のための各種経営相談や指導
運営・融資などの情報提供を行う相談窓口の設置をしている自治体もあります。
(1)経営相談や資金の融資の相談
(2)産業活動の支援
起業するまでに必要なこと
看護師が起業を成功させるためには、事前にしっかりと準備をしておくことが大切です。具体的にどのような準備をしておくのが良いかのポイントを押さえておきましょう。
- 事業計画書の作成
- 事業資金を貯める
- 競合のリサーチ
- 業界の情報を集める
- セミナーなどで起業に向けた知識をつける
- 周囲の起業家に話を聞く
- 創業塾への参加
- 起業の時期を決め退職に向けた準備
- クレジットカードを作っておく
起業家マインドを継続させるには
看護師が起業に向けて動き出し、成功を導くために必要なことは、起業家マインドを持ち続けることです。実はこの部分が一番難しいともいえます。
なぜなら、看護師の資格を持っていると、いろいろな条件を付けすぎなければ再就職はそれほど難しくありません。
それだけに、起業に向けてのマインドブロックはそれほどないものの、そのマインドを維持し続けることが難しいのです。何が何でも成功させる、崖っぷちでやるしかないと言ったまいんどがいつマインドがいつの間にか薄れて行ってしまうことも。
そうならないために大切なことは、一人でやろうとしないことです。
看護師としてや第三者の視点からきちんとあなたをサポートしてくれる専門家のパートナーを見つけ、起業家マインドの形成し維持し続けられるようにしておくことが最も重要なことと言えます。
超高齢社会において、看護師が起業することで、まだ世の中にない高いニーズのある新しいビジネスを作って行けるチャンスはたくさんあります。
あなたの起業が成功することを期待しています!!