ナースが教える高齢者の糖尿病治療の効果を上げるケアプラン作成術

在宅介護を担当する居宅ケアマネジャーの3割が糖尿病の″前触れ″とも言える高血糖や糖尿病を放置している利用者がいると回答しました。また、治療において重要であると考えているのは、食事療法が最も多く、ほか運動療法、内服薬の順でした。(「ケアマネジメント・オンラインhttp://www.caremanagement.jp/ 」調べ)

高齢者は生活環境、介護の状況、他の疾患の有無などにより糖尿病のコントロールがしにくい状況にある人もいます。ここでは、できる限り放置することなく、治療が継続できるようにケアマネジャーとしてどのような支援ができるのかをお教えします。

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高齢者の糖尿病

高齢者の「糖尿病」は膵臓から分泌されているインスリンの量が減ることに加え、運動不足や肥満による筋肉量の減少や内蔵脂肪の増加のよりインスリンの効果が得られにくくなるために発症しやすくなります。

ケアプランへの反映

高齢者の体は人により差が大きいため、それぞれの状態に応じて治療の目標を設定したうえで、治療方針が決められることになります。

ケアマネジャーはそのことを理解したうえで主治医が設定した目標を知り、無理なく治療が継続できるように必要なサービスをケアプランに反映していく必要があります。

高齢者の糖尿病の特徴

高齢者の糖尿病の特徴として食後の血糖値の上昇が大きい傾向にあります。

低血糖の症状として冷や汗、動悸、手の震えなどがありますが、高齢者ではこれらの症状が出にくいことが挙げられます。低血糖を放置しているとさらに血糖が下がり転倒・骨折を起こす原因となり注意が必要です。

また、加齢や腎機能の低下により薬剤の効果が強まり、低血糖を起こしやすくなる危険も高くなってきます。

糖尿病を放置すると

血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つけられることで合併症を引き起こします。「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病神経障害」は糖尿病の三大合併症と言われ、糖尿病で起こり確率の高い合併症です。

そのほか、脳梗塞や心筋梗塞など命の危険を脅かすような合併症を起こすこともあります。

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知っておきたい糖尿病に関する検査データー

糖尿病の治療の指標とする代表的なデーターには糖値とHbA1cが用いられます。

血糖値

血液中のブドウ糖の濃度を表し、1日の中でも食事時間との関連性により変動します。

通常は100~125㎎/㎗の範囲内が正常です。

HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)

過去の血糖値の変動を反映する検査データーです。約1~2か月前の血糖値を表します。

赤血球中にあるHb(ヘモグロビン)の一部はは血液中の糖と結合します血液中の糖の濃度が高くなると、Hbと結合する割合も高くなるため、過去の血糖値のあらましを知る目安となります。

糖尿病検査

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高齢の糖尿病患者の課題とケアプランの内容

血糖コントロールの目標

高齢者では、年齢や運動機能、他の疾患の有無、認知機能などにより重要の低血糖を起こすリスクや余命などが人それそれであるため、その人の状況に応じた血糖コントロールの目標値が設定されます。

ケアマネジャーは必ず主治医に血糖コントロールの目標値を確認しておくようにしましょう。

高齢者の糖尿病の治療と支援

食事療法

食事療法は高血糖の改善や脂質異常、肥満の予防などに有効な治療です。1日に必要なエネルギー量は年齢、性別、活動量などから決められます。

エネルギーだけでなく、炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスのとれた食事を摂取することが大切と言えます。

家族や本人が自宅で調理する場合は管理栄養士による栄養相談をしっかりと受けて、しっかりと食事療法が行えるようにします。

実施している事業所は少ないですが、管理栄養士による居宅療養管理指導を行っている事業所もあります。

家族や本人では確実な食事療法が難しい場合には治療食の宅配を活用することで手間も時間も省け、確実に食事療法が行えるため有効な手段と言えます。

宅配による配食サービスはコチラの記事も参考にしてください。

運動療法

定期的に運動を行うことは血糖のコントロールのためにも、気分転換や体力を維持するためにも大切なことです。

他の疾患や合併症との兼ね合いもあるため、事前に運動の可否や程度を主治医に確認する等にします。

買い物や家事、散歩など日常生活の中での活動量を増やすようにしていくと良いでしょう。

もう少し運動量を増やすにはデイサービスなどを利用し、軽い運動をする機会を定期的に持てるようにしましょう。

薬物療法

高齢者は腎臓の機能が低下していることが多く、薬剤の効果が強く出てしまい、低血糖を起こすリスクが高くなります。

低血糖を起こさないようにするための注意点や、低血糖時の対処法について主治医や薬剤師に確認をして、サービス担当者で共有しておく必要があります。

特に血糖の変動が激しい場合や低血糖を起こしやすい人には訪問看護の利用により、医療面でのサポートを導入していきましょう。

必要により薬剤師による居宅療養管理指導の導入も検討します。

最後に

糖尿病を放置することは、合併症の誘発を引き起こし、生命の危機やQOLの低下につながる危険があります。

ケアマネジャーとして、糖尿病の治療の継続ができるように支援することが重要です。

必要なサービスをインフォーマルなサービスも含めてケアプランに反映できるようにしていきましょう。

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